品質管理技術 第11話 『人づくり(人財育成)』 担当 津守正己

2015年08月17日

Ⅰ 時代を問わず組織を支えるのは 『人』 である

 「人は石垣、人は城・・・」 で有名な武田信玄は23人の部下に本人を加えた武田二十四将、戦って負けたことは生涯一度も無いといわれるほどである。軍師黒田官兵衛も又、黒田二十四将と呼ばれた優秀な部下で戦乱の世を勝ち残って行った。昔から立派なリーダーは、優秀な部下を育て歴史に名を残している。

 これは現在の企業も同じで世界相手に勝ち残る為には人の育成が第一! 優秀な社長でも一人では戦えない。昔から「企業は人なり」といわれ、「人事を尽くして人財を待つ!」という社長も多い。

 

Ⅱ 人づくりには人間性の尊重された職場が必要

 人間性の尊重された職場とは、キレイな環境で楽な仕事をいうのではない。

昔、「鋳物・金型・ハエ取り紙」といって鋳造会社の社長を怒らせたが・・・

鋳造工程も金型製作もキツイ仕事であるが、一度その仕事に入り込めばハエ取り紙にくっついたハエの様に離れられない程に奥が深く魅力のある職種という事ですと説明し、事無きを得た事があります。

 

  それでは、人間性の尊重された職場とは? 新人受入教育から役員教育まで計画的な教育制度があって資格なり昇進によって、より責任ある仕事を任される職場である。教育も訓練もせず結果だけを求める企業は、昨今取沙汰されるブラック企業に等しいものがあるのではないだろうか?

 ノルマだけでは人は育たず企業の発展もない。

 

Ⅲ 人づくり(人財育成)に大切なものは

 一般的な企業では入社後、本社の人事部門での研修があり、その後配属部門での研修(教育)、それらが終了するとやっと正式な配属がされ先輩の下で実務を行うケースが多いと思われる。

 新人にとってどんな先輩(上司)の下で働くか宝くじみたいなもの!

 目的を教えず「あれしろ、これしろ」と指示する先輩の下では知らず知らずのうちに指示待ち人間となってしまう。目的を明確に説明し手段については考えさせてくれる先輩の下では人は育つ。また、些細な失敗を取り上げ小言を並べる先輩の下では挑戦する人は育たない。

 最初から大きい仕事は任されない。少々失敗しても会社に大きな損害を与えない。若い時の失敗は大きな経験となり、うまく使えば会社にとっても財産となる事が多い。(失敗すると表彰してもらえる企業もある)

  昔、自動車の部品をプレスし溶接している現場で、これは自動車のどこに付く部品でその機能は? との質問に答えられない会社が多かった。そこで、廃却車両を準備し、この部品は、ここにアッセンブリされてシートベルトが取付けられる重要な部品であると教えてあげると、若者は「俺は毎日、こんな重要な部品を任されているのだ」と自覚し、その後の不良が「0」になった例もある。この時は、教育の大切さを再認識した。設備も同じで自分の使っている設備の構造まで教えないと品質不良も事故も止まらない。

 

Ⅳ リーダーを育てる

  全職場にいえる事ですがリーダーを育てるのがリーダーの役割、次のリーダーを育てないと、そのリーダーはいつまでもリーダー、但し誰でもリーダーになれるものではなく、資質を見抜かないと逆に潰れることも多い。メンバーも含めた改善力・現場力を向上させるのがリーダーの仕事、立派なリーダーの下で人は育つ!  

人財とは、自らが改善できる自立型人間で行動化能力に優れた人

(行動化能力とは人を動かす力)

 

『やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ』
                                                                                            山本 五十六

 

№ Q011

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